『時の経過と共に必要な保障額は減るのだから、死亡保障もそれに合わせて減るのが合理的である』
という旨の記事を先日書きました。
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最も合理的な死亡保障は『逓減型』|年数に応じて保障額が下がっていく保険
『20代で子供が2人いると死亡保障は8000万円必要』 『50代で子供が独立すれば2000万円で充分』 な ...
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簡単に言うと・・・
- 『子が生まれたばかり』と『子が学校を卒業して独立した後』では必要な保障は全然違う
- 時の経過に合わせて死亡保障がだんだん減っていく『逓減型保険』が合理的
- モデルケースでは保険料の負担が『約6割減』
この『逓減型保険』ですが、実はその主流は『収入保障型保険』というものに変わりつつあります。
簡単に言うと、死亡保障を『一括でまとめて受け取るか』『毎月分割して受け取るか』のような違いなのですが、分割することによって支払う保険料を逓減型保険以上に抑えることができるのが魅力です。
この記事では、そんな『収入保障型保険』について解説していきます。
僕自身もこの種類の保険に加入しています。
収入保障型保険とは
収入保障型保険とは、死亡時に一括でまとまった保険金を受け取るのではなく、『毎月○○万円』という形で継続的に保険金を受け取る保険です。
例えば『保険金額3600万円・期間30年』という保険に加入して10年後に死亡した場合・・・
逓減型保険:2400万円を一括で受取
収入保障保険:10万円 × 12ヶ月 × 20年に渡って受取(合計2400万円)
というイメージです。
受取の総額は同じですが、一括で受け取るか分割するかの違いがあります。
受け取る事ができるのは『残りの保険期間の間』なので、逓減型と同じく保障額がだんだん下がっていくタイプの保険だと言えます。
例えば先程の例のように、30年間の保険で言えば・・・
- 加入直後に死亡:毎月10万円 × 30年間(総額3600万円)
- 加入10年後に死亡:毎月10万円 × 20年間(総額2400万円)
- 加入20年後に死亡:毎月10万円 × 10年間(総額1200万円)
- 加入25年後に死亡:毎月10万円 × 5年間(総額600万円)
の支払いを受け取ることができます。
収入保障型という名前は『30年間、毎月10万円の収入を保障します』という意味からきています。
保障の考え方によって、金額や期間は調整できます。
収入保障型保険のメリット
このように、死亡保険金を分割で受け取る『収入保障型保険』。
最近爆発的に広まっているのは、以下のようなメリットがあるからです。
- 月々支払う保険料が安い
- 計画的に生活費として使うことができる
- いざという時は、一括で受け取ることもできる
これらの項目について詳しく解説していきます。
月々支払う保険料が安い
収入保障型保険は保険金を分割で受け取る分だけ、逓減型保険よりも更に支払う保険料が安く抑えられます。
35歳男性で定額型と逓減型を比較した場合、保険料は実に倍以上の差がありました。
同条件で収入保障型保険の保険料を計算したところ、それよりも更に1割ほど保険料が安いという結果になりました。
定額型保険も含めて支払う保険料を比較すると、以下のようになります。
- 定額型:12,000円 / 月
- 逓減型:4,500円 / 月
- 収入保障型:4,000円 / 月
※35歳男性、保険金額4500万円、期間30年の場合
定額型保険と比較した場合、保険料を約1/3にまで抑えることができるのです。
安さの理由は、保険会社としては一括で支払うよりも分割した方が負担が少ないからです。
計画的に生活費として使うことができる
収入保障型保険は、万が一の際には『毎月いくら』という形で保険金が支払われます。
このメリットは何よりも、月々の生活費を考えやすいという点でしょう。
2000万円・3000万円といった大金を受け取っても、それをすぐに使う訳ではありません。
必要な時に随時受け取る方が、生活のためのお金としては合理的だと言えます。
いざという時は、一括で受け取ることもできる
分割の方が合理的とは言っても、目先で大きな出費が予定されている時には『一括の方が良かった・・・』というケースも充分あり得ます。
そんな時、収入保障型保険であれば受け取り時に予定通り分割で受け取るか、一括で受け取るかを選択することができます。
契約する時に、いつ受け取ることになるのかは誰も予想できません。
収入保障型保険であれば、その時に適した方法で受け取ることができるのが大きな魅力です。
保険会社によっては、毎月受け取りを選択した後に途中で『残額を一括』で受け取るように変更できる場合もあります。
これらの取扱いは保険会社によって異なる場合があります。契約前にしっかり確認しましょう。
また、一括で受け取る場合には1割程度目減りするのでご注意を。
収入保障型保険のデメリット
収入保障型保険はここまで説明してきたように非常に魅力的な保険ですが、デメリットが全くない訳ではありません。
- まとまった出費への備えには向かない
- 税金面が若干複雑(金額は大きくない)
という点は注意が必要です。
まとまった出費には向かない
これは先程のメリットの裏返しです。
『毎月いくら』という形で受けとる以上、ドカンと大きな出費に対する備えとしては不向きです。
- 莫大な相続財産があり、相続税の納税資金が必要
- 豪華な葬儀を上げる
- 子の学費・親の介護などが直近に控えている
こういったケースの場合には、一括で受け取るタイプの保険の方が有利だと言えます。
税金面が若干複雑
くどいようですが、収入保障型保険の保障はは一括ではなく毎月受取をします。
つまり、毎年受け取りがあるのです。
勘の良い方はお気付きの通り、毎年所得が発生することになります。
- 1年目:一時金で受け取った場合の額に対して相続税(※)
- 2年目以降:年金形式で受け取ることによる差額が雑所得
※契約形態によっては一時所得や贈与
詳しい計算はまた別の機会としますが、このような扱いがあります。
とはいえ、実際には相続税の非課税枠や払込保険料によって差し引かれ、税額としては微々たるものになるケースがほとんどです。
問題は『税金が高い』ことではなく『複雑であること』と言って良いでしょう。
組み合わせで理想的な保障に
収入保障型保険は魅力だけど、最大のデメリットはまとまったお金が入らないこと。
それを改善する策として、一括で受け取るタイプの保険と組み合わせるという方法があります。
例えば5000万円の保障が必要だとして・・・
- 1000万円を、定額型や逓減型で
- 4000万円を、収入保障型で
それぞれ備えることによって、『まとまったお金』と『月々の生活費』を両方カバーすることができます。
一括受取の部分は定額型の方がおすすめです。
保険は一つじゃなきゃいけないなんてルールはありません。
状況に応じていいトコ取りをしてしまいましょう。
まとめ
- 収入保障型保険は『毎月○○万円』という形で支払われる保険
- 逓減型よりも更に保険料を抑えられる反面、一括で受け取れないのがデメリット
- 定額型などと組み合わせることでデメリットも解消できる
何千万円というお金をドカンと貰っても、すぐに使わないならばむしろ扱いに困ってしまいます。
まとまった出費は定額型・月々の生活費は収入保障型で備えることで、保険料を抑えながら万全の保障を持つことが出来ます。