『自分(配偶者)が死んだら、家族の生活は大丈夫だろうか?』
結婚すると、特に子供が生まれると強く意識する問題です。
もし万が一、夫(妻)が死亡した場合には・・・
- 貯蓄
- 生命保険
- 妻(夫)の給与
- 遺族年金
これらの収入で、その後の生活をしていかなくてはなりません。
貯蓄や妻の給与、生命保険については何となくイメージが出来ると思います。
では、夫(妻)の死後に遺族年金はいくら貰えるでしょうか。
結論から言うと、高校生以下の子供がいる会社員の場合年間およそ130~150万円前後の遺族年金が支給されます。
※会社員なのか自営業なのか、親の年齢や収入によって大きく変わります。
この記事では、夫(妻)の死後に支給される遺族年金について
- 制度の仕組み
- 年齢や条件別の支給額
をまとめていきます。
※以下、特筆しない限り『夫が死亡した』ケースを前提にしていきます。
遺族年金とは
遺族年金とは、年金加入者が亡くなった際に遺族の生活の為に支払われる年金です。
荒っぽい言い方をすると、夫(妻)が死んだ後、毎年いくら貰えるのかという話。
遺族年金は国民年金から支払われる『遺族基礎年金』と、厚生年金から支払われる『遺族厚生年金』の二つから成り立ちます。
それぞれ支払われる条件も期間も全然違うので、分けて考えていく必要があります。
※以前は公務員などが加入する『共済年金』がありましたが2015年10月から厚生年金に一本化されました。
ややこしいですが、『遺族基礎年金』と『遺族厚生年金』です。
- 遺族基礎年金(国民年金):年金を払っていれば全員が受給できる。
- 遺族厚生年金(厚生年金):会社員が受給できる。
このあと、この言葉がひたすら繰り返されますのでご注意を。
遺族基礎年金とは
遺族基礎年金は国民年金から支払われる遺族年金です。
自営業・会社員を問わず死亡した方に子(※)がいる場合に支払われます。
※18歳になった年度の3月31日まで。平たく言えば高校卒業まで。
※障害等級1級・2級の子は満20歳に達するまで。
※結婚している子は数に含まない。
専業主婦の妻が死亡した場合でも夫が受給できますが収入の制限があり、残された配偶者の年収が850万円以上だと受給できません。
年収850万円あれば生活に困らないだろうという考えのようです。
- 高校卒業前の未婚の子がいる(障害等級1級・2級の子は満20歳未満)
- 同居、あるいは仕送りをしている
- 遺された配偶者の年収が850万円以下
上記の条件を満たしていれば受給できます。
支給額
- 子1人のみ:779,300円(月額6.5万円)
- 配偶者+子1人:1,003,600円(月額8.4万円)
- 配偶者+子2人:1,227,900円(月額10.2万円)
- 配偶者+子3人:1,302,700円(月額10.9万円)
- 以降子1人につき:+74,800円(月額+0.6万円)
子が18歳になった次の年度から、つまり高校卒業後は上記の計算から除かれます。
例えば2人兄弟がいて、2人とも18歳未満の場合は『子2人』。
その後第一子が18歳になった次の年度から『子1人』として計算されます。
末子が18歳になった次の年度から0円になります。
他界、あるいは離婚によりもう一方の配偶者もいない場合、子供が受け取ります。
その場合、子供が一人少ないものとして計算されます。(兄弟2人の場合、配偶者+子一人と同額)
寡婦年金
以下の条件を満たす時、60歳から64歳までの間、寡婦年金が支給されます。
- 死亡した配偶者が10年以上第1号被保険者であった
- 婚姻期間が10年以上
- 配偶者が老齢基礎年金を受給前に死亡した
第1号被保険者:自営業、農漁業、パート、アルバイト、学生、無職とその配偶者。
会社員の扶養に入っている主婦などを除く。
金額は、死亡した配偶者が受け取れるはずだった老齢基礎年金の3/4。
つまり・・・
- 加入期間10年:年間146,100円
- 加入期間20年:年間292,200円
- 加入期間30年:年間438,300円
- 加入期間40年:年間584,400円
が5年間支給されます。
遺族厚生年金とは
遺族厚生年金はその名の通り厚生年金から支払われる遺族年金です。
亡くなった方が厚生年金加入者である場合に支払われ、自営業者等の場合には対象となりません。
遺族基礎年金と遺族厚生年金両方の条件を満たしている場合、両方受給できます。
遺族基礎年金と違って子がいなくても支給されますが、
- 妻は夫の死亡時に30歳未満で子がいない場合は、5年間しか受給できない
- 夫は遺族基礎年金を受給中もしくは妻の死亡時に55歳以上だった場合しか受給できない
という制限があります。
つまり、『30歳未満の女性』や『子が高校を卒業した男性』は充分働けるでしょう、という考えのようです。
支給額
遺族厚生年金の支給額は、亡くなった方の収入と厚生年金の加入期間によって増減します。
ただし特例により、加入期間25年未満で亡くなった場合には25年間加入していたものとして計算されます。
計算式は以下の通り。
・・・分かりづらいですね。
概算ですが、年収別におよその金額をまとめました。
※加入年数25年未満(大卒なら48歳未満)で死亡した場合。
遺族厚生年金額
年収300万円:30.8万円(月額2.6万円)
年収500万円:51.4万円(月額4.3万円)
年収700万円:71.9万円(月額6.0万円)
年収1000万円:102.8万円(月額8.6万円)
年収1500万円:154.2万円(月額12.8万円)
年収2000万円:205.5万円(月額17.1万円)
年収は、加入期間中の平均年収です。
今の年収が1000万円でも『入社時から平均すると700万円くらいだな~』という方は700の金額(年額71.9万円)が目安になります。
およそ年収の1/10が遺族厚生年金として支給されます。
中高齢寡婦加算(遺族厚生年金の一部)
遺族厚生年金を受けている人のうち以下の条件を満たす妻は中高齢寡婦加算を受けることができます。
- 夫が亡くなった時、40歳以上65歳未満で子がいない
- 遺族基礎年金を受給していたが、末子が18歳を超えた
つまり、『39歳以下で夫を亡くした、子がいない妻』は支給対象外です。
39歳で夫を亡くした場合、40歳になっても受給できません。
遺族厚生年金と同様に、40歳未満で子供がいないなら充分働けるでしょう、という考えのようです。
支給額
一律584,500円。(月額48,708円)
老齢基礎年金
これは遺族年金ではないのですが、65際を超えると自分の老齢基礎年金、いわゆる『年金』が支給されます。
生活を考える上では、これも念頭に置いて置く必要があります。
支給額
年額779,300円。(月額94,942円)
※65歳から受給した場合
受給できる年金まとめ
配偶者が専業主婦(夫)またはパート(扶養内)だったとして、およその金額を表にしました。
国民年金加入者(自営業者・フリーターなど)
- 末子が高校を卒業するまで:遺族基礎年金(※1)
- 末子の高校卒業後、65歳まで:年金なし(※2)
- 65歳以降:老齢基礎年金
※1:子がいる場合のみ。
※2:条件を満たす場合、60歳~64歳まで寡婦年金。
子供がいない場合は『遺族年金』として受給できるものはなく、自身の年金のみです。
配偶者の死後にフルタイムで働いた(厚生年金に加入した)場合、自分の老齢厚生年金が加算されます。
子供が複数いると遺族基礎年金が加算されます。
厚生年金加入者(会社員)
- 末子が高校を卒業するまで:遺族基礎年金(※) + 遺族厚生年金(※1)
- 末子の高校卒業後、65歳まで:遺族厚生年金(※1) + 中高齢寡婦加算(※2)
- 65歳以降:遺族厚生年金(※1) + 老齢基礎年金
※:遺族基礎年金は子がいる場合のみ。
※1:遺族厚生年金は、夫の死亡時に30歳未満で子がいない妻は5年のみ。子がいない夫は受給不可。
※2:中高齢寡婦加算を受給できるのは妻のみ。子がいない場合、夫が死亡時に40歳以上64歳未満である場合に限る。
子が複数いると遺族基礎年金が加算されます。
子がいない妻は、39歳未満の時に夫を亡くすと貰える遺族年金が減少します。
ポイント
- 子がいる間に受給できる『遺族基礎年金』と、会社員の遺族が受給できる『遺族厚生年金』がある
- 自営業者は遺族厚生年金が受給できないので、自分で備える必要がある
- 『子がいない』『年齢が若い』『年収が一定以上』などだと『年金がなくても生活できる』とみなされ、一部が受給できない
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