生命保険に加入していると、生命保険料控除という税金の控除を受けることができます。
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保険に入ると税金がちょっとお得|『生命保険料控除』について徹底解説
生命保険に加入すると、支払った保険料に応じて『生命保険料控除』というものを受けることができます。 簡単に言うと、保険に入 ...
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そのためには『生命保険料控除証明書』(以下、控除証明書)という保険料を支払ったことの証明が必要になります。
この控除証明書は保険の契約者宛てに発行されるのですが、以下のようなケースはどうでしょうか。
- 実際は夫が払っているが、契約が妻の名義になっている
- 都道府県民共済など、契約者=被保険者の形でしか契約できない
このようなケースで妻が専業主婦や年収103万円未満だと、そもそも税金がかからないので控除を受けるメリットがありません。
そこで、この記事では『生命保険料控除は契約者の名義が違っても大丈夫か?』という点について解説していきます。
簡単に言うと
実際に払っている人(実質負担者)側の控除として問題なし。
引落口座の名義などには注意が必要。
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保険に入ると税金がちょっとお得|『生命保険料控除』について徹底解説
生命保険に加入すると、支払った保険料に応じて『生命保険料控除』というものを受けることができます。 簡単に言うと、保険に入 ...
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年収103万円以下の場合、生命保険料控除の恩恵がない
この話の前提として、以下のような家庭を例に考えていきます。
- 夫は会社員だが、生命保険の契約がない。
- 妻は専業主婦だが、保険の契約がある。
- 保険料は夫の給与から捻出されている。
このようなケースは、『妻が独身時代に契約した保険がそのまま残っている』というパターンが多いです。
この例では妻が保険契約者なので、控除証明書は妻宛てに発行されます。
通常であれば妻が生命保険料控除を使うことになるのですが・・・専業主婦なので、そもそも税金がありません。
つまり、控除したところで1円も得をしないのです。
一方で、夫が同額の生命保険料控除を使えば年間8,000円の節税。
- 妻が使えばメリットなし
- 夫が使えば年間8,000円節税
これは、利用できるなら使わない手はありません。
妻が年収103万円以下のパートの場合でも同じです。
税金は原則実態主義なので、『負担者がどちらか』が重要
以前死亡保険の受取形態による税金に関する記事でも書いたように、税務署は『名義よりも実態がどうであるか』という点に重きを置いています。
つまり、生命保険料控除については『契約者が誰になっているか』よりも『保険料を実際に負担していたのは誰か』が重要です。
先程のモデルケースでは、妻が専業主婦で医療保険に加入している状況でした。
貯金から払っているという見方もできますが、一般的には夫の給与から捻出していると考えて何ら不自然ではありません。
実質的な負担者が夫である場合、年末調整・確定申告を問わず夫の収入から控除することができます。
ただし、『実際は妻が払ってるけど夫の控除の方が有利だから・・・』は絶対にNG
妻がパート(年収103万円以下)の場合は?
先程の例のように妻が専業主婦であれば全く収入が無いため、実質負担者が夫と主張することに何ら違和感はありません。
しかし、妻がパートの場合はどうでしょうか。
月数万円の収入があれば、数千円程度の保険料を負担することは可能です。
結論から言うと、パートの場合であっても実質負担者が夫であれば夫の収入から控除して問題ありません。
ただし、ちゃんと夫が負担しているという根拠は用意しておきましょう。
- 保険料の引落が夫の口座
- 毎月の家計の内訳
このどちらかがあれば充分かな、と個人的には思っています。
税務署から確認が入ることは極めて稀ですが、万が一お尋ねがあった際に根拠を示せることが必要です。
念の為、一筆添えておくとベター
ここまで書いてきたように生命保険料控除は実質負担者の控除として問題ありませんが、念の為にもう一手間加えておくとより無難でしょう。
それは、控除証明書の余白に『証券番号○○の契約について、契約者は(妻)名義ですが保険料の実質の負担者は(夫)です』と一筆添えておくこと。
正式な手続きではないのですが、私は毎年これを書いて印を押しています。
- 間違えて添付した訳ではない
- 制度の趣旨を理解して申告している
ことを伝える為です。
控除証明書の余白が狭い場合には、適当な紙に一筆書いて添付しても良いでしょう。
これを書くのがルールではありませんし、書けばOKという訳でもありません。
ただの『おまじない』です。
参考リンク:国税庁
当社の従業員Aは、妻Bが契約者となっている生命保険の保険料を支払ったとして、妻B名義の生命保険料控除証明書を添付した保険料控除申告書を提出してきました。当社で年末調整を行う際に、その保険料を生命保険料控除の対象としてよいでしょうか。
→ Aがその保険料を支払ったことを明らかにした場合は、生命保険料控除の対象として差し支えありません。
(抜粋)
妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除|国税庁
『保険に入ると税金がちょっとお得|『生命保険料控除』について徹底解説』まとめ
- 契約者名義が配偶者でも、実際の負担者の控除としてOK
- ただし、実態を曲げることは絶対にNG
- 一筆添えておくとより確実・・・かも
理想は実態に合わせて名義を変えておくことですが、年末になって気付いた場合や都道府県民共済などの場合には、この点を知っておくとちょっとお得です。