死亡保険金の必要額について、実際のモデルケースを例に考えてみたいと思います。
今回のケースは以下のような家庭。
モデルケース
- 夫:35歳、年収500万円
- 妻:35歳、専業主婦
- 第一子:5歳
- 第二子:2歳
持家(住宅ローン)。
子供が3歳になったら妻はパートに出る予定。
家計の状況は以下の通り。
手取り:30万円
住居費:9万円
食費:4万円
水道光熱費、通信費:2万円
自動車ローン、ガソリン代:3万円
保険料:1万円
雑費:2万円
小遣い:夫婦各3万円
貯蓄:4万円
この家庭を例として、夫が死亡した場合に
- 今の生活水準を維持する場合
- 生活費を抑え、妻がフルで働くなど収支を見直す場合
それぞれのパターンにおける、必要な死亡保障額について考えていきたいと思います。
ポイントは、住宅ローンなので死亡したらその後の返済が不要になるという点ですね。
- 生活水準を維持する場合:約7000万円
- 収支を見直す場合:約2000万円
結論としては、このくらいの保障額が必要になってきます。
住宅ローンではなく賃貸の例は以下の記事も参考にしてください。
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『20代年収400万円、妻パート、子供一人』必要な死亡保障額は?
死亡保険金の必要額について、実際のモデルケースを例に考えてみたいと思います。 今回のケースは以下のような家庭。 モデルケ ...
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そもそもの考え方などについては以下の記事を参照してください。
なお、このモデルケースは以下の記事で計算例として挙げられているものの詳細版です。
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死亡保障はいくら必要?|失敗しない生命保険の考え方と計算方法
死亡保障とは、生命保険の保障内容の一つです。 その名の通り『あなたが亡くなったら、いくらのお金が支払われるか』というもの ...
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今の生活水準を維持する場合
- 夫の死後も妻はすぐに働かず、第二子が3歳になったらパートへ
- 転居せず、今の家に住み続ける
- 車も手放さずに保有する
- 万一に備え、貯蓄額は減らさない
という前提で必要保障額を計算していきます。
夫の死後に必要な費用
生活水準を維持すると言っても、夫の死によって軽減される出費があります。
- 住宅ローン免除(-7万円、管理費等2万円はそのまま。)
- 夫の小遣いが不要に(-3万円)
一方で、夫の扶養から外れるので国民年金・国民健康保険に加入する必要があります。(+3万円)
合計で-7万円。月々23万円の生活費が必要ということになります。
60歳以降は貯蓄を辞め、子供も独立しているので食費などを減らし、月々18万円とします。
女性の平均寿命は87歳なので、それまでの生活費は1億3008万円です。
(23万円 × 12ヶ月 × 26年 +18万円 × 12ヶ月 × 27年)
学費は高校まで公立、大学は私立文系として総額で860万円。
5歳から中学校卒業まで、習い事に月2万円掛かるものとします。
そうすると、子供の教育に係る総額は2248万円。
( (860万円 + 2万円 × 12ヶ月 × 11年) × 2人)
そして10年に1度、車を買い替えで150万円。(状態の良い中古車とする)
2年に1度、車検で20万円。
20年に1度、水回りのリフォームで500万円・・・
車と家の維持費が1660万円。
(150万円 × 2回 + 20万円 × 18回 + 500万円 × 2回)
- 生活費:1憶3008万円
- 教育費:2248万円
- 車と家の維持費:1660万円
夫の死後、必要になる費用の総額は1憶6916万円です。
夫の死後に得られる収入
- 妻のパート代(1年後から、月8万円)
- 遺族年金
夫が死ぬことで、当然ながら給与がなくなります。
代わりに得られるのは遺族年金。
妻のパート代は36歳から60歳まで、総額2400万円。
(8万円 × 12ヶ月 ×25年)
遺族年金について細かい計算は割愛しますが、この家庭の場合以下の金額が受け取れます。
- 第一子高校卒業まで:年額1,741,700円
- 第二子高校卒業まで:年額1,517,400円
- 64歳まで:年額1,098,300円
- 65歳以降:年額1,293,100円
合計額は7296万円。
(1,741,700円 × 14年 + 1,517,400円 × 3年 + 1,098,300円 × 13年 + 1,293,100円 × 23年)
- パート代:2400万円
- 遺族年金:7296万円
夫の死後、得られる収入の総額は9696万円です。
差引の必要死亡保障額
以上の計算から
- 夫の死後の費用総額は1憶6916万円
- 夫の死後の収入の総額は9696万円
生活水準を維持した場合、必要な死亡保障額は7220万円ということになります。
収支を見直す場合
- 妻がフルタイム水準で働く(手取り15万円)
- 家を貸しに出し、一回り狭い部屋へ
- 車を手放し、公共交通機関を利用する生活に
- ただし、学費や習い事など子供に掛かる費用は据え置き
という前提で必要保障額を計算していきます。
夫の死後に必要な費用
- 住宅ローン免除(-7万円)
- 家を貸しに出し、一回り狭い部屋へ(-2万円)
- 夫の小遣いが不要に(-3万円)
- フルタイムで働くため、昼食代など出費増(+2万円)
差引-10万円。月々20万円の生活費が必要ということになります。
フルタイムなので健康保険に加入し、保険料は給与天引きとなります。
60歳以降は貯蓄を辞めると共に更に住居費を抑え、子の食費などで月々15万円の生活費とします。
女性の平均寿命87歳までの生活費は1憶1100万円です。
(20万円 × 12ヶ月 × 26年 +15万円 × 12ヶ月 × 27年)
子供の教育に係る総額は変わらず2248万円。
車は手放しますが、賃貸価値維持の為に一度500万円かけてリフォームを行うものとします。
- 生活費:1憶860万円
- 教育費:2248万円
- 家の維持費:500万円
夫の死後、必要になる費用の総額は1憶3848万円です。
約3000万円の圧縮に成功しました。
夫の死後に得られる収入
- 妻の給与(月15万円)
- 遺族年金
妻のパート代は36歳から60歳まで、総額4500万円。
(15万円 × 12ヶ月 × 25年)
遺族年金は変わらず合計7296万円。
妻も厚生年金に加入するので老後は自分の年金もあるのですが、今回のケースでは夫の遺族年金を受け取った場合と金額がほぼ変わりません。
- 給与:4500万円
- 遺族年金:7296万円
夫の死後、得られる収入の総額は1憶1796万円です。
差引の必要死亡保障額
以上の計算から
- 夫の死後の費用総額は1憶3848万円
- 夫の死後の収入の総額は1億1796万円
収支を見直した場合、必要な死亡保障額は2052万円ということになります。
必要な死亡保障額まとめ
- 生活水準を維持する場合:6944万円
- 収支を見直した場合:2052万円
この記事では二つのパターンを掲載していますが、どちらが正解という訳ではありません。
各家庭によって生活の考え方は違いますから、あくまで参考として使って頂ければ幸いです。