保険

死亡保険金が一時所得形態だった場合、実態に合わせて相続にできる?

投稿日:2018年11月12日 更新日:

死亡保険金が一時所得になってしまった場合

生命保険の死亡保険金は、その契約形態によって掛かる税金が異なってきます。

  • 契約者=被保険者だと:相続税
  • 契約者=受取人だと:一時所得(所得税・住民税)
  • 契約者≠被保険者≠受取人だと:贈与税

原則として契約の形態に沿って課税されるので、この名義を間違っていると思わぬ税金を取られてしまうことになります。

例えば夫の死亡保険5000万円を妻が契約者になって加入していると、一時所得扱いになって1000万円以上の税金を取られることも・・・

 

事前に気付いて名義を変えておけば良いのですが、不幸があってから気付いたら大変なことです。

この記事では、『契約名義が間違っていたことに後から気付いた場合、何とか挽回することはできるのか』について解説していきます。

あくまでも『実態に合わせて』であり、実態を曲げることはできません。

また、稀なケースですが相続財産が莫大(およそ一人あたり3億円以上)な場合には一時所得の方が有利になることもあります。

簡単に言うと

実態を証明できれば、税務署に認められる可能性あり。

ただし簡単ではないので、事前に変えるにこしたことはない。

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税務署は『名義』よりも『実態』を重視する

まず、税金の問題を考える上で念頭に置いておきたいことが一つ。

それは、『税務署が基本的には実態主義』であるということ。

 

具体的にどういうことかというと・・・

  • 生命保険料控除は『契約者名義』よりも『保険料の負担者が誰か』を見る
  • 法人の経費を個人名義のカードで切っても、適正に処理すれば法人の経費として計上できる

どちらもあまり推奨できるものではありませんが、名義が異なっていても実態に合わせて申告することが可能です。

 

つまり、税務署の考え方は『基本は名義、ただし実態が異なる場合はそちらを優先する』というスタンスなのです。

 

重要なのは、保険契約の実態

では、ここでモデルケースを例にして解説していきます。

保険金の税金判定モデルケース

  • 契約者:妻
  • 被保険者:夫
  • 受取人:妻

このような契約形態で夫が亡くなり、妻に保険金5000万円が支払われた場合です。

これが相続形態であれば税額は0円なのに、契約者が妻名義だったばかりに約1200万円もの税金が発生してしまいます。

(他の収入がなかったものとする。給与収入があった場合、更に税額が上がる可能性あり。)

 

先程の章で『税務署は基本的に実態主義』だと書きました。

この考えに基づくならば、重要なのは『実際に保険料を負担していたのは誰か』という話になってきます。

そうすると・・・

  • この妻が専業主婦
  • 保険料の引落は夫の口座

などの条件があれば、『妻は収入がないため、実態上は夫が負担していた』ということが主張できそうです。

 

しかし、たかが数万円の生命保険料控除と、数千万円の生命保険とじゃ税務署の目も変わってきます。

  • 保険契約時から現在までの妻の収入(課税)状況
  • 引落口座が途中で変更されていないか

現実的には、こういった客観的資料を揃えてようやく認められるかどうか、といったところでしょう。

 

実例として認められたケースあり

私が保険の営業をしていたころ、まさにこのケースに当たったことがあります。

  • ご主人が亡くなられて、加入していた他社の保険が奥様の名義
  • その保険会社に連絡したら、『あーそれは無理ですね』と一蹴された

そんな訳で、相談を受けました。

(他社の契約とはいえ抑えおくべきだったのですが、そこは置いといて・・・)

 

その奥様は結婚以来専業主婦だったこともあり、最終的には実質負担者は夫、相続税の対象という理想的な形に決着しましたが・・・奥様の心労は相当なものでした。

 

不幸があった後に、不慣れな税金のやりとり。

しかも、1000万円以上が税金で持っていかれようとしている・・・

 

こんな状況に陥る前に、予め契約名義は確認しておきましょう。

 

税務署にも確認してみた

この記事を書くにあたり、改めて税務署にも確認をしました。

 

管理人
死亡保険金の課税についてお伺いしたいのですが。
税務署の人
どういった内容でしょうか。
管理人
本来、死亡保険金は契約形態に応じて課税されるかと思います。
税務署の人
はい。
管理人
お伺いしたいのが、夫が死亡した際に保険の名義上は妻が契約者と受取人になっていたケース。
税務署の人
通常であれば一時所得ですね。
管理人
そうですよね。

 

管理人
それで、この妻が専業主婦で、保険料の実質の負担者は夫だった場合というのはどのように考えればよろしいでしょうか。
税務署の人
原則は名義なので、一時所得です。そこから先は個別の判断になるので何とも申し上げられない。
管理人
個別判断ということは、客観的な資料が揃っていれば認められる可能性もあると。
税務署の人
個別の判断なので何とも言えないです。
管理人
どんなに資料を揃えても認められる確率は全くないのであれば資料を揃えるのも手間なんですが・・・
税務署の人
あー、まあ、そういう訳では・・・
管理人
つまり可能性はあると。
税務署の人
総合的な判断になりますが、認められる可能性も全くない訳ではないですね、はい。
管理人
理解できました。ありがとうございます。

※税務署の方、グイグイ聞いてすいません・・・。実際はもうちょっとしつこく聞きました。

 

まあ回答は予想通りで、『個別のケースなので、一概には回答できない』とのこと。

ただ、食い下がって聞いてみたところ、ここまで書いてきたように客観的資料が揃っていれば認められる可能性もある、との回答も得られました。

 

私の実体験として認められた例もありますし、『名義が違ってたから100%アウト』と悲観的になる必要はないでしょう。

 

認められるのは困難なポイント

一方で、以下のような要素は『支払い実態が夫であった』という主張を弱める恐れがあります。

  • 妻が働いていて、一定の収入がある。(あった)
  • 引落口座が妻の口座である。(だった)
  • 妻が保険料控除に使っている。(使っていた)

特に、保険料控除については指摘されたら言い逃れの余地はなさそうです。

妻が働いていて、引落が妻の口座というだけで感覚的にはかなり厳しい。

夫の口座から定期的に保険料相当額の振込があったなど、よほど特殊なケースじゃないと認められることはなさそうです。

 

まとめ

  • 死亡保険金は、原則として契約の名義に応じて課税される
  • 相続の形になっていないと、高額な税金が課されることも
  • 実態が異なる場合は申し立てる余地あり
  • ただし、客観的な証拠がない場合には難しい

仮に申し立てが認められても、手間や労力は相当なものです。

出来ることならば今のうちに名義を確認して、イメージと違っていたら保険会社に連絡を。

 

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